コネヒト大湯氏とLITALICO中俣氏を突き動かす原動力とは|コネヒトーク後半

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4/25に開催された「普段の生活やお仕事に役立つ情報をお届けする会」のコネヒトークに行ってきました。とっても面白い内容だったので、記事にしました。

今回のテーマは「社会のインフラを目指す事業/会社がどうやって作られているのか」です。

この記事(後編)ではコネヒト大湯さんとLITALICO中俣さんのQ&Aセッションの内容を紹介します。(前編はこちら

登壇者紹介

コネヒト株式会社 代表取締役社長 大湯俊介

1988年生まれ、慶應大学卒。在学中にアメリカ留学を経て帰国後の2012年にコネヒト株式会社を創業。 2014年より、同社にて「人の生活になくてはならないものを作る」というミッションのもと「ママリ」事業を開始。2016年に同社はKDDIにグループ入りし、KDDI子会社のSyn.ホールディングスのもとで引続き代表取締役社長を務める。 

株式会社LITALICO 取締役 中俣博之氏

1984年新潟県新潟市内野生まれ。筑波大学第三学群卒業後、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。新規事業開発をはじめ、国内・海外企業との提携・買収案件や、海外支社での経営企画・戦略を担当し、帰国後はゲーム開発の部長職などを歴任。2014年7月株式会社LITALICOに入社。同年10月、取締役に就任。

コネヒト大湯氏&LITALICO中俣氏Q&Aセッション

社会から障害者をなくす

中俣博之氏(以下 中俣):

LITALICO(りたりこ)は利他的・利己的からきている名前で、誰かを大事にしたいという気持ちと自分を幸せにしたいという気持ちを表しています。

ビジョンは「障害のない社会を作る」を掲げています。

障害は人ではなく社会の側にあるというのが自分らの大事な考え方です。

もし世の中にコンタクトや眼鏡がなければ、視力の弱い人は視覚弱者として障害者と定義されますが、幸いにもコンタクトや眼鏡が社会にあるので大丈夫です。

一方、車椅子の人を見たら、あの人障害者なんじゃないかと思いますよね。

眼鏡は視力を上げる、車椅子は脚力を上げるプロダクトなのに、眼鏡の人は普通、車椅子は障害者、という風に僕らが勝手に定義しているんです。

生きることに困難を持った特性があっても、社会の側にサービスやプロダクトや仕組みがあれば、基本的に障害者は存在しないしみんな幸せになります。社会の側を変えることでみんなにとってハッピーな社会を作っていきたいと思っています。

会社に合う人の見極め方

スキルはあるが会社に合うかわからない人を採用面接でどう判断する?

大湯:

基本的に会社で人を見るときには

・ミッション(この人の人生どういう風に進んでいきたいのか)

・文化

・スキル

という面から判断しています。上から順に確認したいですね。

どこに向かっているのかの話を聞くようにしていて、その人が歩む人生と会社の被りを見ていて、それが大きければうちに長くいるし、小さければ短いかもと思っています。

中途の人は面接慣れしているので、そういうのを誤魔化すのが上手い人もいます。そんな時は本当の人となりを判断するために、その人の生い立ちを聞くようにしています。小学校の時のキャラクターを聞いたり。小学校の時のキャラってある程度決まっているじゃないですか。かけっこ得意、面白い、読書好きみたいな。

小学校の頃の自分の話は思い出しながら話すので、嘘がつきにくいと思っています。

中俣:

絶対取らない人はいますか?

大湯:

あえて言うとすれば、他人の頭の中が見えない人でしょうか。自分が楽しいことで他人が不快になっているかもしれないと想像できない人は厳しいですね。

中俣:

めちゃ難しくないですか?

大湯:

部活で何か出来事があったときに、対岸にいた人はどう思ったと思う?と聞いたりします。

自分が周りの人からどう見られているのか、自分の感情を自分でどう捉えたのか、みたいなメタ認知ができる人かを確認しますね。

中俣:

確かに、合唱コンクールや運動会や文化祭の時の立ち振る舞いって今も残りますよね。

運動会で幹部やる人はめっちゃアツい人とか。「みんなでいいもの作ろう!」みたいなものに俯瞰せずにアツくなれる人はベンチャーに向いていると思います。そういう行事に冷めた見方をしている人はベンチャーには合わない、みたいな見方はできるかもしれませんね。

大湯:

批判者よりも実行者がいいですね。

もう少し身近な例でいうと、小さなことも自分ごととしてとらえられる人が欲しいです。その辺(オフィス内)に落ちているティッシュなどのゴミを当たり前のように拾える人はとても良いです。「自分じゃなくても他の誰かが拾ってくれるよね」とか「掃除のおばちゃんがいるし」みたいなのはダメですね。

会社に起こること全てを自分ごととして捉えて、痛みや悲しみや喜びを分かち合える人がいいですね。

スキルはマジで聞かないですね。どうせ後から付いてきます。

ミッション浸透のためには〇〇が必要

会社のカルチャーの浸透のために行っている施策

中俣:

何もやらないガバナンスが大事だと思います。

ビジョン経営をしたいのは、褒めたり飲みに行ったり不必要に給料上げたりというマネジメントコストをかけたくないからです。

そのためには、「理念」「ビジョン」「事業」「人」の一貫性をぶらしてはいけません。これをやるために会社入ったのに、なんでこの事業にアサインされるのか、なんでこのファンクションをしているのか、なんでこの人がいるのか、みたいなズレはその4つに一貫性があれば起こりません。

ビジョンからブレる事業はやらない、ブレる人は取らない、ブレる評価はしない。それがベースにあります。

もちろん、たまにエンパワーメントするために徘徊したり飲みに行ったりみんなの前で喋ったりはしますよ。

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大湯:

私は、ミッションへの接触頻度が大事だと思っています。だからこのオフィスに入ってくるときも、動線のなかで絶対通るところにミッションが目に入るようにしています。

ミッションも言葉である以上、どう解釈するかも多種多様なんです。ある事象に照らした時に「これって人との生活になくてはならないものにしようとしていることなのか」を頻繁に考える機会があれば、みんな自然と「自分たちっぽさ」というのがわかってくると思います。解釈の仕方が多種多様だからこそ、接触頻度はかなり意識していますね。

共同創業者に愛があるか

起業をするが、今は共同創業者とミッションしか会社にない。何もない状態でミッションを作ると、彼との相違が生まれてくるのではないか。

中俣:

ミッションの問題ではないですね。二人で絶対やりきると決意すれば大丈夫だと思いますよ。

二人はバンジージャンプ跳ぶ前みたいなもんです。跳ぶって決めたら跳ぶ、それだけ!

ミッションとかは言い訳だと思ってて、あなたの心の中に「こいつとずっとやれんのかな」「ミッション作らないとくっつかないな」という考えがあるのが踏み切れていない原因なんじゃないですか?ミッションでも戦略でもなく、あなたの問題だと思います。

共同創業者と起業することは結婚みたいなものですから、一生やるって決めたらやる、それだけです。

大湯さんはピボット経験してますけど、島田さんと喧嘩とかしたことないんですか?

大湯:

島田さんとは一回も喧嘩したことないです。この人となら何やってもいいな、と思えることが大事です。自分たちはテーマを変えているので、離散しても全然おかしくありませんが、「やめないよね」「やり切るよね」という気持ちが僕らには無意識にありました。

朝から晩まで生活して、全て嫌なところが見えるくらいのところにきても愛せるか、というところですね。3ヶ月くらいずっと一緒にくっついて行動してみるといいと思います。

実際起業したての頃は毎日朝から晩まで一緒にいましたよ。

中俣さんは経営者とのマッチは見ますか?

中俣:

「この人いいなぁ」みたいなビビッとくるものはありますが、それだけで経営陣で1つのチームになるかは判断できませんね。

一番大事だと思っているのは感情の共有です。「こうしたほうがいい」とか「社会はこうあるべき」ではなくて「嬉しい」「悲しい」「寂しい」などのなかなか言えない感情を共有して愛が生まれます。

「その発言はするべきじゃない」は届きませんが、「今の発言は、寂しい」というのは届くんです。寂しいと思うからするべきじゃないと思うのだから、するべきじゃないというところに本当の気持ちはありません。だから届かないんです。

「べき」ではなく、その根源の人間の感情を出してぶつかるようにしています。

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逆に共同創業者たちが仲よすぎて、ほかの人と距離が生まれることについてどう思いますか?

中俣:

いいと思います。会社はプライベートなもので、自分たちがやりたいことを達成するもの。自分たちが集めたいメンバーで自分たちでやっていくという心構えでいいと思います。みんなに気を遣って自分にストレス溜まるほうがヘルシーじゃないですよ。

大湯:

何をやりたいかが紐づいていればいいと思います。

仲良くなる人もいれば、そうでない人もいます。しかしそこは判断基準じゃないと思うんです。そこは不安を感じる要素じゃないです。

「やりたいこと」や「実現したいこと」においての共通項に比重を置いたほうがいいと思います。

仲の良さは変わりますが、人生において何が好きか、何がしたいかは変わりません。それらが自分に近いかどうかの方が仲の良さよりも大事だと思います。

コネヒト大湯氏、LITALICO中俣氏の原点

大湯氏:普段の生活が辛いと思う人が自然と戻ってくる場所を作りたい

自分の家族は転勤族でした。小学生の時も頻繁に転勤していて、いろんなコミュニティに入りながら、その時々で自分はどういう風に見られているんだろうそのクラスってどういう風に成り立っているんだろうと考えるようになりました。転校してきた自分1人vs元々あった学級30人とかですから。

それ以来、コミュニティや人の関係性に興味を持っていて、人は人とのつながりで生かされているんだろうなと思うようになりました。

また、インターネットには物心ついた頃から慣れ親しんでいて、インターネットが人の才能を開花させるというのを感じながら生きてきました。

例えば、自分にとってニコニコ動画が人生のバイブルになっていました。あれで人生が変わった人が何人もいると思います。

引きこもりで表現できなかった人が、あのプラットフォーム上で歌を歌いながら食べていけるようになるんです。視聴者にとってはただのエンタメですが、表現する人にとっては人生を変えるツールになるんです。

普段の生活を全て否定したくて辛いという人がコミュニティの中で人のつながりによって生かされていて、そこに自然に戻ってくる場所ってとても良いですよね。

人の生活を支えて、気づいたらそこが拠り所になってるようなプロダクトを作りたいです。

自分が自分らしくいられる社会を作る

中俣:

自分は小学校の時からこんな感じのキャラなんです。ADHD(注意欠陥・多動性障害)。動いてるものがあったら気になるし、好きな女の子がいたら好きって言っちゃいます。こういうキャラは学校のクラスで浮くし、先生からしたらめんどくさいですよね。

小学生の頃Tくんという、かっこよくて髪サラサラで背が高くて足が速い子が同じクラスにいて、先生に「中俣はダメだ、Tくんみたいにならないと」と言われ続けました。

そこで自分は「自分のような人間は社会じゃ成長できなくて、Tくんみたいなのがリーダーになるんだ。優秀にならないと」という間違った学習をしてしまったんです。

それ以来ずっと、外部との人間関係作りをはじめ、優秀な人になろうと努力しました。プログラミングもマーケティングも営業もできて「中俣は優秀だ」と言われるようになりました。

でも、なぜか幸せじゃなかったんです。理由は簡単で、自分らしくいなかったから。

結局、その人がその人らしくあれる社会がベストだと気づきました。この社会は自分らしく生きられる人が少なく、そのせいで不幸せな人が多いんです。

自分もそのような経験をしたからこそ、そんな人のために命を使いたい、という想いでLITALICOの事業をやっています。 

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めっちゃ素敵な会でした!次の開催が楽しみです

おわりに

以上がトークセッションの内容でした。

最近趣味でこのような素敵な会にふらっと顔を出して記事にしています。

「自分のイベントを記事にして欲しい」という要望ありましたら、お気軽に連絡ください!

Ryo Iida/飯田 諒 (@aviciida) | Twitter



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