多くの人を巻き込むミッションの作り方|コネヒトーク前半

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4/25に開催された「普段の生活やお仕事に役立つ情報をお届けする会」のコネヒトークに行ってきました。とっても面白い内容だったので、記事にしました。

今回のテーマは「社会のインフラを目指す事業/会社がどうやって作られているのか」です。

この記事(前編)ではコネヒト株式会社のミッション作成秘話について、CEO大湯さんとCTO島田さんのトークを紹介します。(後編は5/11公開)

登壇者紹介

コネヒト株式会社 代表取締役社長 大湯俊介

1988年生まれ、慶應大学卒。在学中にアメリカ留学を経て帰国後の2012年にコネヒト株式会社を創業。 2014年より、同社にて「人の生活になくてはならないものを作る」というミッションのもと「ママリ」事業を開始。2016年に同社はKDDIにグループ入りし、KDDI子会社のSyn.ホールディングスのもとで引続き代表取締役社長を務める。

コネヒト株式会社 取締役 島田達朗

1988年生まれ、慶應義塾大学大学院卒。Sansan株式会社で100万人が使う名刺アプリ「Eight」の立ち上げを経験した後、コネヒト株式会社を創業。創業CTOとしてサービスの0→1の立ち上げを行い、月間600万人以上が利用する「ママリ」を開発。 2016年にKDDIグループにジョインし、現在も取締役 CTOを務める。

コネヒトCEO大湯氏&CTO島田氏が語る「ミッションを作る意味」

なぜミッションが必要だったのか

大湯俊介氏(以下 大湯):

ママリを始める前、クリエイターが作ったものをオンラインで売ることができるプラットフォーム「Creatty(クリエッティ)」を作っていました。その当時はとにかく自分たちがやりたいものを作っていて、うまくいかなくてメンバーが辞めて困っていました。ミッションも存在していませんでしたね。

島田達朗氏(以下 島田):

自分の高校の同級生も誘って起業したのですが、クリエッティがうまくいかないタイミングで辞めてしまったんです。自分の尊敬するメンバーが辞めてとても不安でした。

一念発起してもう一度チャレンジしようということになり、当時使っていたシェアオフィスを出て自分たちのオフィスを借りて、VCから資金調達をして採用活動を開始しました。その時にミッションの必要性を感じました。

当時、フルタイムは私と大湯と田村という初期からのエンジニアで、もともと一緒にやってたメンバーでした。だからわざわざやりたいことをミッションとして文字化しなくても、3人みんなシンクロして同じ方向を向けていました。

しかし採用を始めると自分たちの会社を説明したり、世の中に露出させる機会が増えて、「何を採用でいうべきか、PRしていくべきか」というのは各自が自分で話しながら定義していく感じでした。

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大湯:

みんながそれぞれ自分の言葉で話していて、根本は近いけど「ん?」となることが多く、会社としての「背筋のブレ幅」を感じるようになりました。

そのような問題意識から、会社を定義するためにミッションを作ろうと思い、2015年9月くらいからミッションを考えはじめ、当時の正社員7人でミッションの合宿をしました。

ホワイトボードにみんなが大事にしているキーワードを書いて、「句読点をつけるかどうか」レベルの細かい話も含めて夜中5時くらいまで話し合って決めました。それが「人の生活になくてはならないものを作る」というミッションです。

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ミッションを作ってからの変化

島田:

私は最後までこのミッションに反対していました。なぜかというと、このミッションが大それていると思ったからです。人の生活になくてはならないものって、衣食住などの本当の意味でのインフラであり、自分たちが作っているのはあくまでスマホアプリ。そのようなインフラをつくれるイメージが当時はなかったんです

しかし反対はしたものの、良い代案を出すことができませんでしたし、半年後や1年後にリバイスしても良いと思ったので、とりあえずそのミッションで行こうという意思決定をしました。

それを咀嚼して日々の行動をしているうちに、だんだんフィットするようになり、今ではとても納得しています。このミッションは非常に視座が高く、それに向かってプロダクトを作ることで、より良いものを作れていると思います。

大湯:

困っているユーザーを救おうと思って色々やってきましたが、日々やっていることを抽象化した時に「鉄道のレールをひいている(=インフラを作っている)のだろうな」というのがわかりました。頭と体が繋がった瞬間です。

ミッションができてから日々の行動が変わりましたね。レールを引く会社だから、どうやってレールを引くか考えながらサービスや組織づくりをするようになりました。

また、プロダクトを作っているとやりたい施策が山ほど出てくるんです。「もっとよくするためにAもBもCもDもやりたい」みたいな。ミッションがない当時は「コスト」と「インパクト」のKPIで並び替えてやっていました。

ミッションができてから、実行する施策を選定する最後のふるいとして、「自分たちが作りたい体験にマッチしているのか」という基準ができました。困ったら戻ってくるようなアプリになるような施策を優先的にするようになりました。

大湯氏のミッションにかける思い

大湯:

汗水垂らして働くのであれば、後世に残したいという思いがありました。

私はエンタメコンテンツが大好きで、会社でもエンタメ領域で何かしようかと思っていました。しかし「バシッと何か作ってお金を稼いで次のものを作る」みたいなものよりも、せっかく会社として人の人生を巻き込んでやるなら「よりインフラに近いもの」を作りたいと思いました。20-30年後に振り返る時に、人の人生が変わるような、そしてそれが後世に受け継がれていくようなプロダクトを作りたかったんです。

ママリは情報を提供するだけではなく、共感を作っていくコミュニティサービスでもあります。情報提供においては群を抜いているGoogleでも達成できていない部分です。本当に困った時にユーザーの頭にパッと浮かぶ回数を大事にしていきたいです。

 

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(前編おわり。後編は5/11公開)