Alibabaとタイ国政府のMoU(覚書)ってどんな内容なの?

f:id:aviciida:20180421134621p:plain

2018年4月19日タイ・バンコクにて、タイの副首相Somkid Jatusripitak閣下、中国特命全権大使のLyu Jian氏、そしてAlibaba会長のJack Ma氏による、タイ国政府とAlibabaのMoU(Memorundum of Understanding:覚書)の締結セレモニーが行われました。

覚書の概要

2016年に交わされた覚書に続きタイ政府とAlibabaの関係をさらに強め、タイの中・長期戦略の「タイランド4.0」を推進する戦略的パートナーシップ。

分野は大きく分けて

  • スマートロジスティクス
  • 人材育成
  • 観光
  • 農産物輸出

です。

これから詳しく解説していきます。

 

f:id:aviciida:20180421133858j:plain

http://www.asiaone.com/business/alibaba-group-and-the-government-of-thailand-enter-into-strategic-partnership-in-support-of

 

1. スマートロジスティクス

タイ商品の輸出のキーとなるSmart Digital Hubを建設

タイの経済成長のカギを握るEEC(Eastern Economic Corridor:東部経済回廊)はタイ国政府が450億ドル(およそ4兆5000億円)もの予算を投じて作ろうとしている経済特区です。

(EECについての詳しい解説はこちら

Alibabaは今回のMoUで、このEEC内に3.2億ドル(約3200億円)を投じ、AlibabaのデータセンターとなるSmart Digital Hubを建設することを約束しました。(2018年着工、2019年完成予定)

建設を主導するのはAlibabaの流通事業であるCainiao Networkで、Smart Digital Hub建設後はAlibabaとCainiaoが持つデータと流通技術を駆使し、タイ・中国間の貿易および周辺諸国の国境貿易の最適化を進めます。

Smart Digital Hubは今後タイの中小企業や農産物と世界を貿易面で繋げるための重要なプラットフォームになることが予想されます。

2. 人材育成

Alibaba Business Schoolでタイの人材を育成

Alibabaは、DIP(タイ国政府工業省工業振興局)とDITP(タイ国政府商務省国際貿易振興局)と協力し、タイ国内の中小企業経営者や個人起業家がAlibaba Business School(Alibabaと杭州師範大学によって設立された認可大学)の授業を受けることができます。この授業ではEC事業を中心としたオンラインビジネスの始め方などを学ぶことができ、彼らの事業のオンライン化を促進します。

デジタル経済の時代に備え、若年層の人材育成もする予定です。

タイ人学生を中国のAlibaba Business Schoolに交換留学する機会を与えたり、Alibaba Business Schoolの知見をDIPやDITPがローカライズしてタイ国内でさらに使われるようにします。

 

3. 観光

タイ旅行の一連のサービスを電子化

訪タイ観光客3500万人のうち、中国人観光客がおよそ30%の1000万人でトップを占めます。

TAT(タイ国政府観光庁)はAlibabaが所有する旅行専用プラットフォームFliggyとの協力をさらに強化し、デジタルでスマートなサービスをタイに訪れる観光客に提供します。

具体的には、Fliggyは観光客の利便性向上のため、タイ国内の観光スポットでオンラインのツアーガイドや電子チケット発行といった、テクノロジーを使った体験を観光客に提供していきます。

TATとFliggyはまだ中国人観光客に知られておらず少し人里離れたような隠れた観光スポットの提案も行うそうです。

また、Alibabaの決済事業体であるAnt FinancialとFliggyはタイの政府機関に対し、出発前および到着時のVISAの申請や支払いから旅行後の免税手続きなどの一連の旅行サービスを電子化するように働きかけています。

 

4. 農産物輸出

タイ農産物の中国輸出を強化

セレモニー当日に、Alibabaとタイ政府商務省は正式にTmall(中国最大のネットショッピングモール)内でタイ米販売の旗艦店をローンチしました。

それに加えて、Alibabaはドリアンをはじめとするタイの有名なフルーツを中国に輸出する支援をすると発表するなど、タイの強みである農産物の輸出の成長を推進します。

(タイ米やドリアンなどのタイ農産物は中国人消費者にも人気らしいです。)

 

ちなみに、この発表と同時にタイ産ドリアンの先行販売が行われ、1分で8万個のドリアンが売れたとのことです。

Alibabaのライバルの動き

JD.comはタイの小売大手Central Groupと、ECのジョイントベンチャーを500億ドルもの予算を投じて設立すると発表。(2017年9月)

テンセントはタイのカシコン銀行と協定を組み、WeChatでの電子決済サービスをタイの中国人観光客に提供すると発表。(2017年9月)

 

その他メモ

タイ以外の東南アジア諸国でもAlibabaの存在感が高まっています。2017年にはマレーシアで、2018年3月にはインドネシアでデータセンターを開設しました。

 

さいごに

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今回はとりあえず英語でバラバラに出ている情報をまとめるだけにしておきます。

あ、一つだけ自分が8ヶ月間タイに住んで感じたことを挙げるとすると、タイ人学生は起業家精神旺盛な人が多いイメージです。

普通に出会った学生が自分のECサイトを運営していたり、YouTuberやって化粧品を自分で販売していたり、会社に働きながら副業で化粧品を作っていたり、あまり知り合いが多くない中で出会った若者がこういう感じなので、起業家精神旺盛なのかなぁと思いました。

 

ちなみに、実際このMoUがすごいのかすごくないのか、自分にはわかりません。

もし読者の方で「こういうところがすごいんじゃないか」とか「こういうのが無いからあまりすごくないんじゃないか」というのがありましたら、

コメントなりTwitterで@aviciidaのメンションつけてツイートなりしていただけたら嬉しいです!

 

参考記事

 

Alibaba Group and the Government of Thailand Enter into Strategic Partnership in Support of Thailand 4.0

Alibaba to invest $320 million in Thailand, as rivals boost presence | Reuters

Alibaba to splash B11bn on EEC | Bangkok Post: business